(音楽SE)
さて今回は「劫財(ごうざい)」の話に入ります。前回の「比肩(ひけん)」に続き、同じく「比劫(ひごう)」に分類される十神のうちの一つですね。
劫財はどんなイメージか?
まず、「比肩」と「劫財」はよくセットで扱われていて、どちらも「自分(日干)と同じ五行」だという点では共通します。ただ、一般には「比肩=陰陽が同じ」「劫財=陰陽が違う」というふうに区別して解説されることが多い。イメージ的には、比肩のほうがやや穏やかで「仲間意識」「自分と同じ性質をもつ人」といった要素が強く、劫財のほうがやや攻撃的・強烈な要素があるとされるんですね。
そこでよく言われるのが、劫財は「他人のモノを奪う」「人の財をむしり取る」といった、いわゆる“略奪”や“強奪”と結び付けて解釈されるケース。しかし、現代社会においては必ずしもそうネガティブな面に出るわけではない、と私は考えています。昔のように「王の財産を奪う=叛逆行為」という時代だったら危険視されたかもしれませんが、今は資本主義で「起業して新たな市場を奪う」「グローバルにビジネスを拡大する」など、いくらでも“他人からシェアを取る”機会がある。だから、一概に劫財を「悪」と決めつけられないわけです。
むしろ、現代の富豪を見渡すと「劫財的な発想=他人が気づかないうちに市場を先取りして奪う力」をもって大成功を収めた例が多い、と私は感じています。
劫財にまつわるエピソード(古典→現代)
- 昔(王朝時代)
- 王の財を横取りするのは反逆行為だし、貴族同士で財や権力を奪い合うのも危険。だから「劫財=危ない、凶だ」とされた面が強い。
- 今(資本主義社会)
- ビジネスチャンスを見極めて他社のシェアを奪うとか、ネット通販で大儲けするとか、良くも悪くも「他人の領域に入って利益を得る」ことが奨励されがち。その意味で劫財が活きる場合もある。
だから、古典では「劫財=人を食い物にする」「強奪」とか、まるで大悪人のように書いてある文献があるけれど、現代社会では「それ、うまく活用すれば成功者になれるよね?」という見方も成り立つわけです。
劫財を持つ人がよく言われる特徴
- 大いなる推進力、行動力、スピード感がある
- 何かを始めるときに周囲を巻き込んだり、強引な手段を使ってでもグイグイ進める。
- ただしやり過ぎると「周囲から反発を買う」「敵を作る」ことも少なくない。
- ライバルや敵から何かを奪う・被奪取が起きやすい
- 自分が人のものを奪うとも言われるが、逆に「奪われる(被奪)」側に回る可能性もある。
- いずれにせよ「所有のトラブル」「争奪のリスク」がつきまとうことが多い。
- お金との関係
- 劫財は「財を奪う」とも言われ、「他人の財を横取りする」という暗示がある反面、成功するとかなり大きな利益を得る場合もある。
- 反面、使い方を誤ると騙される・損をするなど「お金のトラブル」に巻き込まれるリスクも高い。
- 性格面・対人面
- 自尊心が強い/プライドが高い/やや攻撃的/“自分こそ正しい”と思いがち。
- しかし成長して経験を積むと、人に譲るべきところは譲りつつ要所でズバッと進める、といったバランスも取れるようになる。
- 家族・身内への影響
- 古典では「家族同士での衝突が多い」「兄弟姉妹との財産トラブル」などを言われます。
- 実際には、「近い人のものを奪う/奪われる」パターンだけでなく、「一緒に力を合わせて外部の市場を奪う」というプラス方向に働く場合もある。
比肩 vs. 劫財
前回までに話したように、比肩も劫財も「自分と同じ五行」という点で類似していますが、比肩のほうが「協調・並列」のイメージに近く、劫財のほうは「略奪・衝突」「陰陽の違いによる激しさ」が強まる、とざっくり考えると分かりやすいでしょう。
劫財が強い人こそビジネスに向いている?
私自身の経験や相談事例から、「劫財を持つ人はビジネスで大成しやすい」というケースをけっこう見てきました。ただし条件があります。それは「しっかり社会経験を積む」こと。つまり、“実践”を通じて「他人と上手に利害調整をする」「相手を騙しすぎず、自分も騙されない」などのバランス感覚を養えば、ガツガツと市場を取って大成する。
一方、「自分の都合だけで突き進む」「経験が乏しく、人から学ぶ姿勢が足りない」状態で劫財が強く表れると、強引さが空回りして「人に恨まれる」「反発される」「信用を失う」といった面が出やすい。だからこそ、本人次第で「劫財は宝にもなるし、凶にもなる」という感じなんです。
劫財を持つ人が陥りやすいトラブル
- 「人のモノを欲しがりすぎて」周囲から批判される
- たとえば友人の恋人や仕事のポジションを横取りしようとする。
- 場合によっては法的問題になることも(例えば著作物や企画を盗む等)。
- 「周囲に振り回されて」自分のモノを奪われる
- 劫財は「奪う」だけでなく「奪われる」可能性も示唆。
- 自分が騙される、利用されるなどもありうる。
- 経済面の波が激しい
- 一時的に大きく稼いでも、その後トラブルで失うことがある。
- 要するに「大きく儲けて大きく失う」ジェットコースター運になりやすい。
- 対人関係のケンカ・確執が多い
- 自分の意志を通そうとしすぎて衝突を繰り返す。
- 知らぬうちに敵を増やしていたりする。
劫財がないとダメなの?
ときどき「劫財がないと大成功しないのか?」と聞かれるけれど、そんなことはありません。あくまで「ガツガツ奪いに行くタイプの成功」を描く場合、劫財の要素が後押しになることがある、というだけです。ほかの十神(たとえば印綬や財星、官星)を活かして伸びる人ももちろんいますし、「劫財が無い人」はないなりに違う手段で成功をつかむことができます。
四柱内のどこに劫財があるか
- 年柱に劫財
- 先祖・実家・家系に競争やトラブルが多い、あるいは兄弟姉妹が多い場合に財産問題が起こりやすい…など。
- 子ども時代に兄弟やまわりとの摩擦があって、家を離れやすい、などとも言われます。
- 月柱に劫財
- 社会に出る頃(青年期)に強く作用し、たとえば会社や同僚との衝突、自分が抜けて独立するなどが起きやすい。
- 上手く使えば「ビジネスを通じて大胆にシェアを奪う」などの大成功もありえる。
- 日柱に劫財
- 日干(日柱)のすぐそばに劫財があると、配偶者の星(配偶者宮)にも影響する場合があり、「結婚相手との関係でトラブル」または「夫婦で共同して何かを成し遂げる」といった極端な出方をすることもある。
- 配偶者の星と競合しがちという古典的な見方も。
- 時柱に劫財
- 晩年に財産を子どもや周囲に取られる、あるいは逆に子どもや周囲から奪ってしまうなど。
- 時柱は子どもや部下の星でもあるため、「子どもが浪費家で親の財を食い尽くす」「逆に子どもの才能を横取り(代理親?)する」みたいなシナリオが古典には書かれています。
- ただ、現代では「子どもの才能や活動をうまくプロデュースして共に成功する」みたいなプラス面に転じるケースもあります。
まとめ
- 劫財=「奪う/奪われる」性質がある、と古典では言われてきた。
- 現代社会では必ずしも悪いわけではなく、「他者のシェアを取る」「ビジネスで大胆に勝負する」といった形で大きな成功を得ることもある。
- 反面、やり方を誤ると「騙す/騙される」「法律問題に発展する」「周囲との衝突が絶えない」といったトラブルがつきまとう。
- 上手く活かすには「社会経験によるバランス感覚」「協調性」が必要で、十分に成熟すれば「大きな推進力」を発揮して成功を収めやすい。
これで劫財の概説は終わりです。次回は、また別の十神の話に入りましょう。
では今回はここまでです。(音楽SE)
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