では、今回から「10神」の話に入っていきます。
ここまで「食神がこうだ」「比劫がこうだ」など、単発的に説明してきましたが、実は10神というのは、人間が社会の中で生きる上で生じる“相互作用”や“関わり”を示したもので、単純に「食神は○○」「財星は○○」とまとめられるほど狭い概念ではない、ということを改めて強調したいですね。
10神を小説や詩のように理解する
10神それぞれについて、報告書的に箇条書きで要点をまとめる、いわゆる“分析文体”の説明もありますが、一方で小説や詩のように「物語的・イメージ的な」形で理解するやり方もある、と私は思っています。
実際、私のブログにも10神をより「イメージ中心」に解釈した文章があって、本のほうでもその一部を引用しています。これを通して、現実社会で「この10神がどう動いているか」を、物語のように感じ取りつつ習得してほしいからです。
こうした詩的・物語的な表現は、日本語でもそうですが、あいまいな語感を多分に含みます。学校で詩を習うときに、わずか数行の詩の中に膨大な意味が込められているように感じることがありますよね。サッと見ただけでは分からない。でも深く読むと「なるほど、作者はこんな心境だったかも…」と想像が広がる。このように、10神というのも決して単純にカチッと区切られた型で捉えるものではなく、幅広い表現・イメージで解釈する余地があるんです。
10神を自分なりの基準で理解する
「○○流の10神テクニック」を覚えたら、一瞬で命式が読める…というような触れ込みを見かける方もいるかもしれませんが、実際はそんなに簡単じゃない、というのが私の立場です。
人がどのように行動するか、10神がどんな風に働くかは、本当に多岐にわたります。だから、誰かのテキストを“まるごと一括”で取り込むだけだと、かえって混乱する可能性がある。
大事なのは「自分が理解しやすい基準・解釈」をしっかり設定しておき、そこに他の知識をどんどん“継ぎ足し・貼り合わせ”していくことです。そうすると少々矛盾が出ても、「ここをこう補えば整合性が取れるかな」とか、「この人のやり方は私の軸とは少し違うな」など、自分なりに判断できるようになる。
たとえば、食神ひとつを見ても、ある人のテキストでは「食神=こういう性格」と書かれているけど、別のテキストでは「いや、こういう行動原理もある」と説明されていたりします。これを全部むやみに飲み込むと、結果「食神って何でもありだ…」と混乱する。でも、自分の基準が確立されているなら「この言い方はこういう角度から見た食神の姿だな」と受けとめられるし、他方で「これは私の基準とは合わないな」と選別もできるわけですね。
イン性(印星)の話へ
今回取り上げるのは「印星(イン性)」について。
前にも少し触れましたが、印星というのは「思考や学習、文書、資格、研究、宗教、母性、本能的な保護心…」など、いろいろな意味が広範囲にわたるため、ひとことで「印はこう!」と断定しにくい。
それこそ、昔は「印星は母親・義母を示す」とか「身を助ける星だからありがたい」とシンプルに言われていましたが、現代社会だと人間関係の構造も複雑になり、単に「母親の星」では片付かない部分が多いんです。
たとえば、印星が強い人でも、必ずしも「子どもを愛する優しい母」になるとは限らない。研究や学問に没頭して、自分のことしか考えられないようなタイプに出る場合だってあるんですね。
なので、印星を現代的にとらえ直すと、むしろ「一人で思考・学習を深める力」「資格や経歴を武器にしようとする動き」「頭を使って稼ぐ職業(医師・教師・宗教家・金融関係など)と結びつきやすい星」と見るのが自然な面もあるのです。
過去と現代で印星の扱いが変わった
昔の社会では「印星的な仕事」は限られた特定階層だけのものだった。「勉強ばかりして食べていく人」=科挙や官吏、あるいは宗教家など、一般の農民は勉強なんてできなかった。
でも現代は、誰もが大学まで行ける時代になり、印星的な仕事(学術系・資格系の職業など)に就こうと思えば可能性が開けている。そうすると、これまでは「印星的な生き方は一部の知識階層に独占されていた」のが、今や大衆もそれに参入していて競争が激化した、という構図になるわけです。
だから、印星を強く持っているからといって、楽に勉強して資格を取り、悠々と高給を得られる…わけでもなく、結局、競争社会だし成果を出さなきゃいけない。
かえって「私は印星が強いから頭脳労働したいのに、競争が苦手でぐったり…」みたいに苦しむケースも珍しくない。
実際、印星が強い人のなかには「新しいことになかなか手をつけられず、のんびり独学だけしているうちに機会を逃す」タイプもいます。動き出すのが遅いというか、行動・挑戦が苦手になりがちなんですね。
だからこそ私がしばしば言うのは、「印星が強い人こそ、途中で(何かに)ガッと没頭して集中するキッカケを掴むと大きく花開く」だとか、「印星は机での勉強だけじゃなく、生活のなかでもっと動いて試行錯誤しないと厳しい」とか、そういうアドバイス。
その意味では、印星を現代的に理解するのは簡単じゃないですが、大きなチャンスがある星とも言えます。
印星とお金の問題
もう一つ大きいのは「印星を使って、そのままお金に結びつけられるか」という問題です。
印星はもともと「内面の学び」「資格・文書・研究など」を表すので、そこに直接「財」の要素は少ない。
もちろん、医師や大学教授・教師・会計士などの資格仕事で成功する人もいますが、それは印星に加えて「財」も働かせている。単に資格を取るだけではなく、資格を活かして営業や仕事上の交渉もきちんとする、という行動が必要です。
しかし印星が強い人は競争や営業が苦手なことも多く、「資格だけ取ってもお金にうまく繋げられない…」となりがち。
だから、印星が強い人が本当に成功したいなら、やはり「財星や食傷などを合わせて動かし、現実の収益に繋げる工夫」を意識する必要がある。
イン性の人が陥るケース
- 学歴や資格を持っているが、ビジネスの競争に馴染めず収入が伸び悩む。
- あるいは、勉強が好きで大学を出て専門資格も取ったけれど、実務にうんざりして辞めてしまう。
- 逆に、中年以降で突如「儲かる投資をやりたい」と思い立ち、積極的に動こうとするが、もともと行動が遅いのでタイミングを逃しがち…など。
こうした苦労の背景には「印星的な特質」と「現代の競争社会」が噛み合いにくい、という事情があると私は見ています。
まとめ
- 「印星(イン性)」は昔から「母」「学問」「文書」「資格」などと定義されてきたが、現代ではそれだけでは語れない幅広さがある。
- 過去の社会(科挙や身分制度など)では一部の階層のみが印星を活かしやすかったが、現代は誰もが学問や資格に挑める分、競争が激化し、かえって印星だけでは生きづらい面もある。
- 印星が強い人は行動が遅い・競争苦手などの傾向があるので、財星や食傷など他の星と組み合わせて現実化しないと「資格はあるけど儲からない」という状況になりやすい。
- とはいえ印星は「思考・学習・研究」など大きな武器にもなるので、うまく活かせば専門家・技術者・医師・教師等で大きく成功する可能性も秘めている。
(音楽SE終)
――以上が、今回「10神のうち印星(イン性)」について、口語的なスタイルで話した内容の和訳です。語り口がやや散漫なので、分かりやすく適宜区切って要約しました。
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