[音楽SE] えー、あーあー…はい。
では瞬間的に、まず最初に「甲と己の合(甲己合)」の話をざっとしてみましょうか。はい…[音楽SE]…はいはい。
ええと、まず「甲と己」なんですが、この時点で何を知っているのか、知らないのか…。本当は3巻の各部分を読み返しておいてほしいんですよね。それと基礎のほうもざっと見直してほしいところです。
で、合の話というのは、合するとそれが「何かしら勢力(化)」になるのか、あるいはただの“形だけの組み合わせ”なのか――そこを先に書いてあるわけです。
普通「甲と己」は、むやみに「これで合だから!」と単純には言わないんですね。
で、そこにはこんなふうに書いてある。
「甲己合がサジュ(命式)にあると、人は分をわきまえ、心が広く、他人との関係でもあまり深刻な対立を起こさない。周りの人から愛され敬われるタイプだ。
しかし、ほかの干支や大運と結びつく状況によっては、むしろこの“穏やかで中正なイメージ”とは真逆の生き方をする可能性もある」
そこが“裏面もある”という意味ですね。
たとえば「壬寅」とか「辰」とか、いろいろこの辺で例を挙げますと…。
まぁここでいちおう言いたいのは、こう書かれている通り――
「この命式に甲己合がある人は、分別をわきまえ、心が広く、他人と大ゲンカをしない。周りの人に愛され尊敬もされる」
だけど実際には、サジュ全体の別の部分や大運しだいでは、その人がまるで正反対なふるまいをする場合もあるんだよ、ということなんです。
つまり“本来の甲己合の象意”と、現実に生きているときの姿がズレることがあるよ、という話ですね。
**イメージで言うと、サジュ(命式)に甲己合があるなら、
- 命式内部だけの話
- 大運と結びついたときの話
- ほかの人の八字との相性で甲己合になるときの話
この3種類くらいに分けて考える。**
合というのは、(甲と己)みたいに天干で合ができる場合ですね。もし命式の中で甲と己が出会っていれば、それをそのまま“合”として読むとか。あるいは大運・流年の干とぶつかって合になるとか。他人の命式との組み合わせで合になるとか――そんなふうに使うわけです。
で、「合だ、合だからめでたい」って言う人が多いんですが、私は「甲己合」というのを単に“合”だから良いね、で終わらせずに、実際どう働くか見ましょう、というのが主張なんです。
例を挙げると、もし私が甲で、大運か流年で己がくっついてきた場合――そうすると己というのは土ですよね。土で“再評価”されているから、なんか財だとか名誉だとか? いや、それは命式にもよるけど、
とにかく「甲の私に己が合してくる」とすれば、何らかの象意が起こり得る。逆向きに「己が日柱で甲が巡ってきたらどうだ」っていうパターンもあるし……まあいろんな場合があるんです。
そうすると、話がどうなるか――
本当はもっと深く、甲己合の結果が“化”になるのか、ただの組み合わせだけで終わるのか、を見なきゃいけないんですね。
昔の本だと「甲己合→ト(化して土になる)」みたいに単純に書いてある。でも実際そうスムーズに土化するとは限らない。気をつけなきゃいけないわけです。
そこでポイントは、甲己合の典型的解釈には「分を守って、心が広く、対立しにくい」みたいな表現があるけれど、それは命式内にバランスよく甲己合が収まったときの話であって、
人によってはまるで「わりと計算高くて損得に走る」とか「やたら消耗される」とか、そんなふうに出る場合もあるよ、と。例をあげると――
「甲己合でもやたら周りに合わせすぎて、自分の利益にならない(損ばかりしている)人がいる」
という感じですね。「甲(自分)が得したかと言えば、別にそうでもないな…全部を己に持っていかれてしまった」というケース。
そうなると、「合だからすごくいいね」とは単純に言えないわけですね。
逆に、己の立場で見れば、甲がくっついてきたとき、己自身はそんなに動きたくないのに、甲がやたらと働きかけてくるから対応していたら疲れた――みたいな話も出てくるわけです。
合の組み合わせって、そういうふうに一方向にうまくいかず、微妙な温度差があったりするよ、ということを念頭に置く必要があるんです。
そうすると、「じゃあ甲己合なんて実はあまり意味がないのか?」というと、そうでもなくて、やはりそれなりの象意があり得るんです。
ただ、甲己合で本当にしっかり“化して土になる”かどうかは、命式全体の五行バランスや季節・運勢を見ないと分からない。そういう前提がある。
だから「甲己合がある人はみんなこうなる」と断言はできないよ、と。そこの解釈が大事なんですよね。
たとえばこれを男女関係に例えて、「あの人は甲で、私が己だから合だ→相性最高!」と思っても、実際にはただの友達関係で終わるかもしれないとか。そういうことがあるわけです。
そういう合の“一見分かりにくい面”を観察して書いてあるのが、上のような「分を守るが損得下手になる」とか「周りからは好かれるけど実利が得にくい」といった説明なんですね。
そもそも甲己合というのが、純粋に「土化」にまで行くかどうか分からないし、行ったとしても誰が得するのかはケースによる。
だから現代的には、「甲己合=良いよ」というだけじゃなく、もう少し実際的に見てみましょう、ということです。
最後にまとめとして、
- 甲己合というのは天干合の代表の一つ。
- 古典では「土に化する」とか「分を守って穏やか」とか書かれがち。
- しかし現代では、季節や命式全体や運の絡み、また男女関係など複雑な要素があるので、そこまで単純ではない。
- 場合によっては「ただ周りに合わせて疲弊する」かもしれないし、「味方が増えるが自由がきかなくなる」みたいなケースもある。
そういうふうに考えながら甲己合を見ると、けっこう面白いですよ、ということですね。
講義としては今回、この話をサッと紹介して、次回に続く――みたいなイメージです。じゃ、これで甲己合は終わりますね。はいはい…[音楽SE]
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