[音楽 SE]
ええ、今回のお題は10番目ですね。「上官(=傷官)を使う革新的な事業家と、革新的な“アルバイト”が登場する…」ええ、上官を理解するのにちょっと役に立つ話題なので書いてみました。
たとえば、あるゲストハウスでアルバイトしているAさん(“1階に住み込み”の人)がいると。読み進めると、朝から夜遅くまで長時間働いているそうです。宿泊業だから、食事付き・住み込み可(宿泊所も提供される)なのでいちおう納得はしているものの、働く時間が思ったより長い。実際の労働時間以外でも「目に見えてしまう仕事」がどうしてもあり、ついやりたくなってしまう。つまり、そんなに重労働ではないけれど、拘束時間が長いからつらい。さらに“クレーマー”のお客が来たときには精神的なストレスも大きくて、日頃から「こんなに働いてるのに、この給料じゃ…」と不満がある。いちいちサチ(事情)を説明はしないけど、そういう不満がくすぶっていると。
一方、ゲストハウスの社長はもともと普通の給料取りだったけど、お金もなかったし、いろんな投資を試してみてダメだった――じゃあ外国のゲストハウスを見てみると案外イケるんじゃない? と思い立って、このゲストハウスを開いた。初期メンバーとしてスタッフをスカウトして始めたら、今では3軒運営していて、月の利益がものすごく出ている。工夫をこらして成功しているんですね。
それでなぜここが人気かというと、社長がとにかく宣伝がうまいから。SNSの写真なんかで実際の2坪しかない部屋を、写真で広く見せる加工をしたり、いろんなアイデアでお客を呼ぶイベントを打ったり、食事をサービスしたり。そういうマーケティングでお客をどんどん呼び込んでいるらしい。
(アルバイトと社長のすれ違い)
ところが、アルバイトの彼はそれが気に入らない。
「実際はこんな狭い部屋なのに、写真では広々見せてるじゃないですか。お客さんが“イメージと違う”と言ってくるのは、自分たちが対応しなきゃいけないんですよ。マジで勘弁してほしい!」みたいに、社長とぶつかる。
でも社長は、「それが俺のマーケティングなんだ。うちはそういう手で当ててきたんだよ」と。両者とも傷官(上官)を使うタイプだからこそ、“革新的”ではあるけど、お互い“やり方”が合わない部分が出てくる。
じゃあどうすべきか? ここで起きた問題は、社長とアルバイトが傷官ゆえの個性をぶつけ合っている点にある。社長は「自分のやり方で成功してきた」、アルバイトは「今のやり方はしんどい」と不満。たとえば社長がそのアルバイトをクビにするか迷ってるかもしれないし、「人手不足で代わりがいないから、辞めさせたくない」とも思っている。そんな状況だと。
(実際の相談エピソード)
実際、この社長が私に相談に来たそうです。
- 「そろそろ3軒のうち1軒は売却すべきか悩んでいる」
- 「あのアルバイトを手放すべきか、でもなかなか替わりが見つからないし…」
そこで私が提案したのは、こういうこと:
「売ってしまえないなら、アルバイトに“そっちの1軒を任せてしまえば? そっちはおまえがオーナーになるか、持分を譲り受ける形にして、月々の利益も何割か、おまえが取れ。代わりにすべて運営してくれ”と持ちかけてみたらいい」と。
いざやってみると、アルバイトは最初「えっ!」となるけど、もしやると決めたら、その分利益が自分に入ってくるわけだから責任感も増すし、やり甲斐も出る。社長はそのぶん1軒のオーナー権を譲ってしまうけど、もともと売ろうと思ってた物件だから、いいんじゃないか、と。
実際それをやってみたら、アルバイト君は自分の店をもつオーナー兼スタッフになり、社長も資金を得つつ2軒のほうに集中できるようになり、結果的にお互い良くなった。今はさらに発展しているらしい――という話。
(傷官の動き:革新や変化を促す)
つまり、傷官を強く持つ人は「既存のやり方」に疑問を感じ、新しい方法で変化・革新を起こそうとする性格がある。それをビジネスで発揮すれば「今まで誰もやらなかったこと」をやってヒットさせられるかもしれない。しかし、一方で周囲と衝突しやすい。
この例でいうと、社長は最初は不遇から「なんとかしなきゃ」と新規性を打ち出し成功したが、いざ事業が軌道に乗ると、アルバイトが同じく傷官で「こんなやり方、おかしいじゃないですか」とぶつかる。衝突しそうになったところを「じゃあオーナー権をあげるよ」という別の革新的解決策で、さらに両者が伸びていくことになった。
それを普遍的に見ると、たとえばフランチャイズ展開でうまくいく人は、この傷官の革新力を活かしてガンガンブランドを立ち上げる。けれどもまた別の傷官の人材が衝突を起こす……それをどうさばくかが経営のポイントになる、みたいな話でもある。
(まとめ)
結局、傷官を使う人たちは「どん底から一気にのし上がる」みたいな革命パワーを持ちやすい。一方で、事業が伸びると別の衝突が起きやすい。「社長vsアルバイト」の例のように、ときに思いがけない方法でwin-winに落ち着かせると、さらに成長する――そんな流れがあるのだと、今回述べている感じですね。
はい、じゃあここまでにしておきましょう。
[音楽 SE]……というところで終わりです。
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